サ高住は身体介護が比較的少ない職場です。しかしだからといってゼロというわけではありません。そのため身体介護についても知っておく必要があるでしょう。身体介護において、基本と言われているのは食事介助・入浴介助・排泄介助の三大介助です。今回はそのなかの排泄介助のポイントについて紹介します。
まず車椅子から便座への移動を促す際は、高齢者に手すりの低い位置を持ってもらわなければなりません。手すりの高い位置をつかませると高齢者は前傾姿勢がとりづらくなり、スムーズな移動ができないからです。また高齢者が移動のための前傾姿勢をとっている時、介護士は後ろから両脇を抱えるのではなく、横から骨盤を支えることが推奨されています。そのような動作を行うことで、高齢者は重心の移動がしやすくなるのです。
排泄後に介護士が高齢者のお尻を拭く必要がある場合は、便座の前方に移動してもらわなければなりません。その際、介護士は高齢者の前にかがんで骨盤の両側に手を添えながら、わずかな体の回転を繰り返して高齢者の腰を少しずつ前方に引き出します。そして高齢者のお尻と便座の間にすき間ができたら、介護士は後方に移動して背後からお尻を拭くのです。
排泄行為は生活のクオリティを維持するうえでとても重要な習慣であるだけに、介護士が適切な動作をとらずに排泄ミスが起きると高齢者は自尊心が傷つけられることもあります。今回は一般的な動作を紹介しましたが、実際に行う際は高齢者の意欲向上につなげるためにも介護士はそれぞれの筋力を見極めたうえで、個々に合わせたトイレ介助を行わなければなりません。